脳深部刺激療法(DBS)
脳深部刺激療法
DBS: deep brain stimulation
脳に電極を入れて、脳の深部を電気刺激することで、飲み薬で十分な改善効果が得られないパーキンソン病、本態性振戦、ジストニア、難治性疼痛などの症状を改善させる治療です。手術中、電極を通して試験刺激を行い、有効性や安全性を確認します。胸部の皮下に刺激装置を植込み、皮下を通した延長ケーブルを介して脳の電極と接続します(電極・ケーブル・刺激装置は全て体内に植込まれ、体の外に露出しない状態となります)。
①リード:脳深部に植込みます。先端の電極で脳を電気刺激します。
②延長ケーブル:皮下でリードと刺激装置をつなぎます。
③刺激装置:胸部に植込みます。電池を内蔵し、治療用の電気刺激を発生します。

DBSの長所
- 刺激装置の埋込み後は、症状に合わせて電気刺激の強さや刺激位置等を微調整することができます。
- 脳を凝固しないため、電気刺激のスイッチを切れば効果が消失する「可逆性」があります。万が一刺激による副作用が生じても、スイッチを切った上で、副作用が出ない刺激設定に変更し直すといったことも可能です。
- 一度の手術で左右両側の治療が可能です。保険が適用され、高額療養費制度もご利用できます。
DBSの短所
- 電極や導線、刺激装置を体内に植え込む必要があります。皮膚切開し、頭の骨に直径1cmほどの小さな穴を開けます(専用のフタをします)。
※無剃毛で手術可能です。 - 胸の皮下に埋め込む刺激装置には電池の寿命があるため、概ね3〜15年おきに交換が必要です(期間は、刺激条件や、非充電式・充電式の違い等により異なります)。
これは、局所麻酔をした上で、15-30分程の処置で交換できます。