病理診断科
病理診断とは?
患者様が病院に来院されると、適切な治療のために適切な診断が必要になります。「病理診断」は最終診断として大きな役割を果たします。
患者様の体より採取された病変の組織や細胞から顕微鏡用のガラス標本がつくられます。この標本を顕微鏡で観察して診断するのが病理診断です。そして、この病理診断を専門とする医師が病理医です。生きている患者様を診ることのない医師で、病院の診療部門を支えている立場といえます。
病理診断は主治医に報告され、治療に生かされます。病院に病理医がいることは、より良質の医療を提供することにつながります。
病理診断の種類
病変がとりきれたかどうかの確認のため、手術によってとりだされた臓器・組織の断端を調べたり、がんの転移が疑われる部分を調べて手術で切除する範囲を決めたりするときにも、術中迅速診断は役立ちます。病理医が唯一、時間との戦いを強いられる仕事といえます。
正しい診断には、臨床医と病理医の連係プレーが欠かせません。
病理解剖
ご遺族の承諾のもとに、病死された患者様のご遺体を解剖させていただくのが「病理解剖」で、剖検とも呼ばれます。生前の診断は正しかったのか、どのくらい病気が進行していたのか、適切な治療がなされていたのか、治療の効果はどれくらいあったのか、死因は何か、といったことを判断します。事故や犯罪がからむ法医解剖や医学生の教育のために献体していただく系統解剖とは異なるものです。
病理解剖では外からわかりにくいように切開し、診断に必要な臓器を取り出して、3時間ほどで終了します。主治医の立会いのもと、病理医と臨床検査技師で行います。ご遺体は解剖後に清拭されてご遺族のもとに戻されます。病理解剖の肉眼所見は、解剖を行った病理医から主治医へと報告され、ご遺族に説明されます。なお、顕微鏡所見を含めた最終診断にはもう少し時間が必要です。
病理解剖の結果が蓄積されることによって、他の方法では得がたい医学の進歩への貢献が期待されます。病理解剖はある意味で個人がなしうる社会への最後の貢献といえます。また、個人の体の中でどのような病気がどれぐらい進行していたのかを病理解剖によって明らかにし、その苦しみがいかばかりであったかを知ることは、ご遺族にとって意味のあることではないでしょうか。
以上のように病理医は、診療部門を支え、患者様の治療方針に大きく関与しているという点で、Doctor of doctor とも呼ばれています。
医師紹介

石川 典由部長
専門分野
病理診断
経歴
2000年卒 島根医科大学
専門医・認定医等
- 日本病理学会病理専門医
- 日本病理学会研修指導医
- 日本病理学会学術評議委員
- 日本病理学会分子病理専門医
- 日本臨床細胞学会細胞診専門医
- 日本臨床細胞学会細胞診教育研修指導医
- 死体解剖資格
- 医学博士

川本 雅司顧問
専門分野
病理診断学、細胞診断学、呼吸器病理・細胞診
経歴
1981年卒 日本医科大学
専門医・認定医等
- 日本専門医機構 病理専門医
- 日本病理学会 専門医研修指導医
- 日本病理学会・国立がん研究センター病理診断コンサルテーションシステムコンサルタント(肺・胸膜の炎症性疾患,領域責任者)
- 日本臨床細胞学会 専門医 教育研修指導医
- 日本臨床検査医学会 臨床検査管理医
- 日本外科学会 認定登録医
- 日本登山医学会 国内認定山岳医
- 難病指定医(神奈川県)
- 死体解剖資格
- 臨床研修指導医
- 医学博士
- 帝京大学医学部客員教授